室内栽培で知っておきたい「光の数値」3つの指標 ~PPFD・DLI・光飽和点をやさしく解説~

室内で野菜を育てるとき、光はとても大切な要素です。
でも「どれだけ光を当てればいいのか?」は意外とわかりづらいですよね。

そこで今回は、光の量を数値化した3つの指標
「PPFD「DLI」「光飽和点」について、家庭菜園初心者にもわかりやすく解説していきます。

目次

PPFD(光合成光量子束密度)

PPFD(Photosynthetic Photon Flux Density)は、「植物が光合成に使える光が、今この瞬間、どれだけ当たっているか?」を表します。
単位は μmol/m²/s

この値が高いほど、植物に多くの有効な光が届いています。

PPFDの目安

植物タイプ推奨PPFD
陰性植物(しそ、みつばなど)50〜150 μmol/m²/s
半陰性植物(小松菜、レタスなど)150〜300 μmol/m²/s
陽性植物(トマト、ピーマンなど)300〜600 μmol/m²/s以上

PPFDは「ライトの真下のどこで測ったか」によって値が変わります。
距離が遠いほど、数値は下がるので注意しましょう。

DLI(1日あたりの光量)

DLI(Daily Light Integral)は「1日トータルで植物が受け取った光の量」を表します。
PPFDが“瞬間の強さ”だとすれば、DLIは“1日あたりの光の合計”。

単位は mol/m²/day

DLIの目安

植物タイプ推奨DLI
陰性植物4〜6 mol/m²/day
半陰性植物6〜12 mol/m²/day
陽性植物12〜20 mol/m²/day

たとえばPPFDが200μmol/m²/sで12時間照射した場合:

DLI = 200 × 12 × 60 × 60 ÷ 1,000,000 = 約8.6 mol/㎡/day

光飽和点

光をどんどん強くすれば、植物はたくさん光合成するというわけではありません。
ある程度の光を受けると、それ以上は光合成の効率が頭打ちになります。
その限界点が「光飽和点」です。

光飽和点の目安(PPFD)

植物タイプ光飽和点(PPFD)
陰性植物100〜200 μmol/m²/s
半陰性植物200〜400 μmol/m²/s
陽性植物600〜1,000 μmol/m²/s

飽和点を超えても光合成の速度はあまり上がらず、
電力のムダになったり、葉焼けのリスクが出たりします。

おまけ:ルクス(lux)とは?

照明機器のカタログでよく見る「ルクス」ですが、
これは人間の目の明るさの感じ方を元にした単位です。

植物にとって必要な光(特に赤・青波長)と、人が明るく感じる光にはズレがあるため、
PPFDやDLIの方がずっと正確に植物の育成に役立ちます。

まとめ

  • PPFD(μmol/m²/s)… 今この瞬間の有効な光の強さ
  • DLI(mol/m²/day)… 1日あたりに受けた光の合計
  • 光飽和点 … 植物の光合成が飽和する限界

室内栽培では、数値を知っておくことで無駄な光を省き、最適な環境が作れます
LEDライトの性能を見るときや、照射時間を決めるときに、ぜひ参考にしてください。

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