家庭で育てていた野菜の中心からと茎が伸びて花が咲きそうになっている。
そんな経験はありませんか?
この現象は家庭菜園で多くの人が直面するトラブル、「トウ立ち(薹立ち)」です。
トウ立ちをしてしまうと、葉物野菜や根菜の可食部が小さくなったり味が落ちてしまいます。
この記事では、トウ立ちがなぜ起こるのか、主な原因、家庭菜園で実践できる効果的な予防策について解説します。
大切な野菜を美味しく収穫するために、トウ立ちの知識を深めましょう。
トウ立ちとはどういう現象?
植物の成長には「栄養成長」と「生殖成長」という2段階の過程があります。
栄養成長では葉・茎・根など植物自体の体が形成されます。
それに対して生殖成長では花芽や果実など、子孫を残すための器官が形成されます。
トウ立ちとは葉物野菜や根菜など、栄養成長により大きくなった葉や根を食べる野菜において、生殖成長が始まり花芽がついた茎が伸びてしまう状態です。
トウ立ちが進むと、花や果実に栄養を取られ、栽培の目的である葉や根が硬くなったり栄養がなくなるなどの影響を及ぼします。
トウ立ちのきっかけは栄養成長から生殖成長への転換です。
この栄養成長から生殖成長への転換のサインが「花芽分化」です。
花芽分化とは生長点に花芽ができることで、これが起こると、高温・長日下でトウ立ちが進みます。

花芽分化の原因は?
花芽分化が起こるとトウ立ちが進んでしまいますが、この花芽分化の条件として温度、日長、栄養状態などが挙げられますが、温度の影響が最も大きいと言われています。
葉物野菜と根菜の多くが低温で花芽分化します。
低温によって花芽分化することを春化(バーナリゼーション)といいます。
春化は冬を越し、春に花を咲かせるための準備段階です。
春化のタイミングには2通りあり、種子が吸水し発芽した段階で始まるものと、ある一定の大きさになるまで低温の影響を受けないものに分けられます。
前者を「種子春化型」、後者を「植物体春化型」といいます。
温度管理には電気代の費用がかかるので、事前に育てる野菜がどちらの型なのか知っておけば余計な電力を使わずに済みそうです。


トウ立ちを防ぐ方法
トウ立ちを防ぐには基本的には温度管理が必要ですが以下の方法でも防げる可能性があります。
1.高温で低温を打ち消す
夜間の低温は日中の高温によって打ち消すことができます。
これを「脱春化」といいます。
脱春化を起こすには20℃以上の高温に4〜6時間、毎日繰り返す必要があります。
この反応を利用することで時期をずらして出荷を行なっている農家さんもいるようです。
2.栽培時期を守る
大根などの種子春化型の野菜では、種の段階で低温に感応するので早まきは避けましょう。
ほとんどの種には袋に適切な栽培時期が記載されているので、時期を守って栽培することでトウ立ちを防ぐことができます。
3.晩抽性品種を選ぶ
晩抽性(ばんちゅうせい)品種とは、葉根菜類において、花芽が形成される時期が遅い品種を指します。
春まき栽培など、特定の条件下では晩抽性品種を選ぶことでトウ立ちを防ぎ、栽培がより簡単になります。
このような品種は種袋に「晩抽性」や「トウ立ちが遅い」といった記載があります。
まとめ:トウ立ちを防いで美味しい野菜を収穫しよう!
トウ立ちの原因とその対策について説明しました。
トウ立ちは植物が子孫を残し種を生存させる上で必要な過程ですが、食べることが目的で栽培する場合には避けたい現象です。
この記事で説明した知識をを用いて美味しい葉根菜栽培を楽しみましょう!

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